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武蔵野音楽学園

音楽で自由を獲得しよう/ジャン=マルク・ルイサダ(ピアニスト)

Jean-Marc Luisada

ジャン=マルク・ルイサダ
ジャン=マルク・ルイサダ Jean-Marc Luisada

ショパンを中心にロマン派や近代フランス音楽を得意とする、現代フランスを代表するピアニスト。6 歳よりM. シャンピとD. リヴィエールにパリで、その後英国のメニューイン音楽学校で学ぶ。16 歳でパリ国立高等音楽院に入学、ピアノをD. メルレに、室内楽をG. ジョワ=デュティユーに師事(両課程でプルミエ・プリを獲得)。また、N.マガロフ、P. バドゥラ=スコダ、M. マギンらの元でも研鑽を積んだ。1985 年ショパン国際ピアノコンクール5位、 併せて国際批評家賞を受賞、以降世界中の主要なホールや音楽祭に出演。録音も多く、ショパン《ワルツ》《マズルカ》(DG)、ビゼー&フォーレ(RCA、年間ディスク大賞受賞)、ショパン《舟歌&幻想ポロネーズ》(同、レコード芸術誌特選盤)等、常に高い評価を受けている。大の映画好きとしても知られ、俳優との共演企画にも取り組んでいる。2005 年NHK スーパーピアノレッスン「ショパン編」に講師として出演。1989 年「芸術文化シュヴァイエ勲章」、1999 年「国家功労5 等勲章」、2003 年「芸術文化オフィシエ勲章」をフランス政府より授与される。

 ショパンをこよなく愛する世界的ピアニスト、ジャン= マルク・ルイサダ氏。1985 年のショパン国際ピアノ・コンクールで注目を浴びて以後、ソロ、室内楽、オーケストラとの共演など世界中を舞台に幅広く活躍しています。日本では、2005 年に『NHKスーパーピアノレッスン ショパン編』に4 ヵ月にわたって出演し、大好評を博しました。昨年末の来日時、江古田キャンパスにピアノ公開講座の講師としてお招きした折、本学・福井直昭教授がお話を伺いました。(2014年11月19 日インタビュー)

日本の聴衆の素晴らしさ

福井 ルイサダさんが初めて日本にいらしたのは?

ルイサダ 1984 年、山岡優子先生が主催する横浜でのフェスティヴァルのために来日したのが最初です。私にとっては革命的な出来事、私自身が劇的に変わるきっかけとなりました。そして日本の聴衆の優しさとマナーの良さ、フランスの文化に対するリスペクトに感銘を受けました。日本人の異文化に対する誠意とか敬意といったものは、当時も今も全く変わっていません。日本の留学生からも、他の文化を自分のものにしようという意欲を感じます。

福井 私がルイサダさんを知ったのは、中学生の頃、テレビでショパン国際ピアノ・コンクールの模様を見たのが最初でした。

ルイサダ 1985 年のコンクールですね。テレビで大きく取り上げられたらしく、コンクールのあと来日した際、熱烈な歓迎を受けました。銀座を歩いていたら、「あっ、ルイサダだ!」と声を掛けられたり。こんなことは、他の国ではあり得ません。特にフランスでは絶対あり得ません(笑)。日本に来られたこと自体が嬉しかったですし、最初に来日したときからステージではとても自然に弾くことができました。私にとっての日本は、言うならば“幸せへの誘い”といったところでしょうか。

福井 今回、ピアノ公開講座を行った本学ベートーヴェンホールの印象は?

ルイサダ ベートーヴェンホールには、とても素敵な雰囲気、ポジティブな雰囲気を感じます。ピアノの神様、というより音楽全般の神様と言うべき巨匠ウィルヘルム・ケンプが、約50年前、この素晴らしいホールでパイプオルガンを弾いたそうですね。今のドイツには、ケンプほどのピアニストはいないでしょう。彼と同じ舞台に立つことができ、とても光栄に思います。江古田校舎の改築にあたっても、このホールだけは残されるということでほっとしました。

わが友ショパン

福井 今回の来日では、公開講座のほか、東京・紀尾井ホールをはじめ各地でリサイタルを行うということですね。

ルイサダ 今回はマスタークラスとリサイタル、両者が抱き合わせとなったツアーとなっています。ベースには、若い人たちに私の音楽、演奏に関わる秘訣、秘密を伝えたいという想いがあります。

福井 リサイタルのプログラムについてお聞かせください。何かテーマとか、こだわりはあるのでしょうか?

ルイサダ 紀尾井ホールのプログラムはハイドンとシューマンとショパンという構成で、とても美しいプログラムになっています。ハイドンの「変奏曲ヘ短調」は、悲しさと同時に希望を表現するものであり、後のシューベルトが予見されるくらい、ロマンチシズムの領域に近い作品です。シューマンの「フモレスケ」はずっと好きな曲で、27 年ほど前に出した私のCD にも収録されています。シューマンの書いた言葉に「内なる声」というものがありますが、これは映画で言えばミュート、つまりセリフなど音がなくなった世界のこと。シューマンによる映画作風とも言えるでしょう。次のショパン「3 つのマズルカ」、「ピアノ・ソナタ第3 番」も大好きな曲。ショパンは、ずっと昔から私にとって近しい存在です。バッハ、モーツァルト、ショパンは常に私と共にあって、いつも練習しています。彼らこそ、まさに天才。どれだけチャレンジしても、汲み尽くすことのできない井戸のような存在です。彼らの作品と向き合うことで、私自身が成長できるような気がします。その作品群は、天からの贈り物。それを弾けること自体、どれほど幸せなことでしょうか。

ジャン=マルク・ルイサダ ピアノ公開講座
(2014年11月19日ベートーヴェンホール)